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胃癌でも使用できるようになった新しい「抗癌剤」オプジーボ(一般名:ニボルマブ)についてご紹介します。

2018年10月1日に京都大学・本庶佑(ほんじょ・たすく)特別教授のノーベル医学・生理学賞受賞が決まったことは記憶に新しいと思います。本庶教授の研究チームが開発に携わったオプジーボは『免疫チェックポイント阻害薬』と称され、これまでのがん治療とは異なるアプローチにより注目されています。

日本では2人に1人ががんに罹り、3人に1人ががんで亡くなります。1981年に死因トップに躍り出たがんは、超高齢時代と相まって、年間37万人以上の方が命を落とします。
これまで、がん治療においては「外科手術」と抗がん剤などを用いた「化学療法」、そして「放射線治療」が三本柱と言われてきました。そして、その3つをがんの部位や進行具合によって組み合わせるのが一般的でした。オプジーボは、そこに加わる第4の柱、「がん免疫治療」の薬として国内外から大きな期待を集めています。

オプジーボの作用 ―免疫のブレーキを外す―

がん免疫治療とは、人間がもともと体内に持っている免疫機能を正常に働かせることで、がんを治そうとする考えに基づいた治療です。
実は健康な方でも、体内では毎日がん細胞が生まれていると言われています。それでも、『がん』にならないのは、免疫細胞ががん細胞を異物とみなして攻撃し、死滅させているからです。免疫細胞が正常に機能している場合は問題ありませんが、がん細胞は学習し、自分を攻撃する免疫細胞にブレーキをかけるようになります。すると、体内ではがん細胞が爆発的に増えてしまい、がんが進行します。このブレーキを外し、免疫細胞を正常に働かせるよう作用するのがオプジーボです。

オプジーボを使用できる癌腫

日本では2014年に悪性黒色腫の適応を得て発売されて以来、毎年、適応が拡大され、現在では、『切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌』・『根治切除不能又は転移性の腎細胞癌』・『再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫』・『再発又は遠隔転移を有する頭頚部癌』・『がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌』・『がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫』の合計7癌腫に適応を有しており、今後もさらに拡大していく見込みです。基本的には、手術による治療が難しい患者さまがオプジーボによる治療の対象になります。

副作用について

通常の抗がん剤と全く異なる副作用があります。
抗がん剤というのは、がん細胞自身を攻撃するようなお薬ですが、このオプジーボ(チェックポイント阻害剤)は、前述の通り、免疫反応を高めることによって、がんを攻撃する薬です。ブレーキを外すことによって免疫細胞が強く働きすぎて自己免疫疾患の様な副作用が起こってきます。 例えば肺の炎症であったり、大腸の炎症であったり、中には重症筋無力症や1型糖尿病という、特殊な病気が起こる方もいらっしゃいます。 そのため、自己免疫疾患にかかったことのある方や、間質性肺炎にかかったことがある方はオプジーボによる治療が受けられないことがあります。

最後に

現在注目を浴びているオプジーボですが、上記の様に使用についてはまだ制約があり、全ての癌に使用できる訳ではありません。特異的な副作用もあります。その一方で、投薬により生命予後の延長が期待できる新しい薬剤であることは事実です。今後も新しいデータが出てくると考えられますので、ご質問等あれば担当医にご相談頂ければと思います。