診療科・部門・センター紹介診療部 循環器内科

完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)について

2016.5.24 心臓血管不整脈センター 足立和正

植込み型除細動器は英語でImplantable Cardioverter Defibrillatorといい、その頭文字をとってICDといわれています。ICDは心室頻拍や心室細動といった一瞬で命にかかわるような危険な頻脈性不整脈が出現した場合、電気ショックでその不整脈を止めるための医療機器です。
ICDでは静脈血管を通して心臓の中にリード線を植え込んで、鎖骨下の皮下に電池本体を植え込みます。眠っているときでも突然死から守ってくれる非常に心強い機器なのですが、不都合なこともあります。リード線が心臓に植え込まれているためにリード線に異常がでたり、感染を起こしてリード線を抜去しなければならない時に、患者さまが非常に危険にさらされます。リード線をうまく心臓からはがさないといけないからです。
その弱点を補ったのが、完全皮下植込み型除細動器(Subcutaneous ICD ・S-ICD)です。これは心臓にはノータッチです。リード線は胸骨上の皮下を走り、バッテリーは腋の下に入ります。

イラスト
(Wikipedia / S-ICDより)

リード線が心臓に入らないのです。そのために植込み手術に伴う危険性はかなり減ります。また、長年の間にリード線が傷んだり、感染を起こしたとしても比較的容易に抜去することができます。なんといっても心臓に絡んでないわけですから。ペースメーカーや除細動器は心臓にリードが入るという点でリードが傷んだ場合に取り扱いが厄介でした。この点が解消されたS-ICDは画期的な医療器具です。
ここで一つ大切なこと。S-ICDは除細動はできますが、有効なペーシングはできません。よって、脈が遅くなるような人には使いにくいです。この点をよく覚えておいて適応を考えていく必要があります。感染に注意が必要な糖尿病患者さま、透析患者さま、将来にわたって長い間システムを使い続ける必要のある若年患者さまに適応があると思います。

イラスト
(ボストンサイエンティフィックのホームページより)

明石医療センター 心臓血管不整脈センターでは2016年5月16日にS-ICDの植込みを3例行いました。皆さん順調に経過されています。今後、適応をよく見極めて従来型のICDと新しいS-ICDを使い分けていこうと考えています。