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「よくわかる循環器疾患ー深部静脈血栓症の予後編ー」

予後

普通1週間程度で安静がとれ、肺塞栓症や血栓後症候群などを合併しなければ予後は良好ですが、手術や骨折などの一過性の原因以外では血栓症の再発も多いとされています。

2003年のPREVENT研究の報告によると約6ヶ月間の中用量のワーファリン治療後(PT-INR 2.0~3.0)、低用量ワーファリン治療(PT-INR 1.5~2.0)を続けると深部静脈血栓症の再発リスクが64%軽減できるとの結果が示され、ワーファリンの長期投与の有用性が示されました(右図)。

更にELIATE研究では低用量より中用量ワーファリン治療の方が出血のリスクを増加させず、深部静脈血栓症の長期再発予防により有効だったと報告されています。

イラスト

エコノミークラス症候群あるいは旅行者血栓症について

旅客機などの狭い座席に長時間押し込められたことによる下肢の静脈うっ血が原因で深部静脈血栓症をおこし、肺塞栓を合併して呼吸困難、ショックなどに陥る「エコノミークラス症候群」が話題になっていますが、ファーストクラスなら大丈夫というわけではなく、列車やバスなどでも起こりえることから、最近では、旅行者血栓症というようになっています。

国土交通省所管の財団法人航空医学研究センターがおこなった定期国際線が発着する国内21の空港周辺の病院への問い合わせと治療記録の調査では、93年からの8年間で、合計44人がエコノミークラス症候群とみられる症状が確認され、うち4人が死亡したことが判明しました。44人の平均年齢は61歳。男女別では男性が4人、女性は40人と女性に多く、平均搭乗時間は約11.6時間。患者のうち31人は、以前から高血圧や血栓症などの既往がみられました。機内で席を立った回数は約0.5回。半数近くの人が1度も席を立っておらず、多くの人がエコノミークラスでしたが、ビジネスクラス利用者も6人でした。そのため最近ではロングフライト症候群とも呼ばれています。予防策としては、搭乗前に軽食をとり、水分の補給に気をつけ、アルコールを控えて、足を動かしたり通路を歩くなど適度な運動が予防策とされています。